彷話§さまよえるオランダ人~新国~[上]

先週の土曜日、今年の初オペラとなる新国立劇場『さまよえるオラン
ダ人』に行ってきた。以下、悪口ばかりが連なっていく。

演出はマティアス・フォン・シュテークマン……日本人としては初の
合唱メンバーとしてバイロイト音楽祭の舞台に立った花田夏枝と、音
楽評論家ヴェルナー・フォン・シュテークマンの息子である。

という華々しい出自の揚句が、あまりにも凡庸に過ぎる演出にすっか
り興醒めしてしまった。しかも何年か前に続く再演というのは、好評
であったとは思えないにもかかわらず、いかなる力が働いているもの
かと勘ぐりたくもなる。6月には同じく新国で『ローエングリン』の
演出をすることになっているが、とてもじゃないが期待はできない。

演出とは、すなわち多くの部分で人をどのように動かすのか、どのよ
うに“演技”させるのかということが要求される職分であるはずなの
に、ソリストもコーラスも動かすことができない。動かすにしても、
陳腐なマスゲームのような能のなさに呆然とした。

その演出が奇妙なものであっても、群衆の動きに演技が伴っているの
であれば、いくぶんかの救いはあったりするのだが、人の動かない舞
台は救いなどはないのだ。

この項もう一回、歌手と合唱、オーケストラについてまとめてみる。
                            [続く]

《憬話§我々の“バイロイト音楽祭”2008.08》

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