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zoom RSS 彷話§さまよえるオランダ人〜新国〜[下]

<<   作成日時 : 2012/03/23 00:00   >>

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[承前]

歌手と合唱、オーケストラの前に、幕切れでゼンタが船に乗り込んで
高みへと上がっていくのに、オランダ人は取り残されて舞台中央にう
つぶせに倒れこんだままというのは、いかなる演出なのか……音楽は
“救済の動機”が流れているというのにである。

『さまよえるオランダ人』自体、これすべてゼンタの妄想の産物で、
夢オチ仕立てのような演出もあったりしたが、ゼンタだけが“救済”
されるという流れが理解できない。あの舞台だけを単純に見ていると
ゼンタの自己満足で全体が完結したかのような印象を受けてしまう。

というわけで歌手である。オランダ人のエフゲニー・ニキティンは、
去年ミュンヘンの引越し公演でテルラムントを歌っていて、まさに真
っ盛りの歌手である。欲を言えば、一幕で己が運命を嘆く時、最後の
一声であざといくらいの見得を切ってほしかったところ。

ゼンタのジェニファー・ウィルソンだが、二幕のバラードを万全なフ
ォルムで歌いきるために、あの体型はやむを得ないのかなと思いつつ
も、だがしかし演技ともいえない舞台上の動きには興ざめするしかな
かったというのが本音。

ダーラントのディオゲネス・ランデスは、前の公演の時に不調のため
一幕で降板、カバーの長谷川顯が後を歌ったという。そんなこともあ
って生彩を欠いたが、もっとバスらしい押し出しの声でないとダーラ
ントとは言えまい。

三澤洋史率いる新国立劇場合唱団は、迫力ある鍛えられた合唱が4階
席まで届いて、十分に耳を満足させてくれた。ただし、三幕でオラン
ダ船からの合唱をPA処理したのは興醒め。演出の一環だったと思わ
れるが、著しくバランスを欠いてして、やらずもがなであろう。

指揮者(トマーシュ・ネトピル)の責任なのかどうか、オーケストラの
バランスも悪く、弦楽器のフレーズがしばしば金管群に押しつぶされ
てしまっていたのは、大いに不満の残ったところ。そのあたりのボリ
ュームをコントロールしてくれないと、泡立つ海の波を髣髴とさせる
弦楽器群の奮闘が救済されないではないか。

……感想が不満だらけの公演になってしまったのは甚だ遺憾である。

《憬話§我々の“バイロイト音楽祭”2008.08》

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