孤話§盛岡でわんこそば・・・一度だけ

一度だけ盛岡で“わんこそば”を食べたことがある。30年以上前の独
身一人旅の途中で、盛岡に途中下車してのこと。行った店は、一応は
名前の通ったここである。結論をさっさと言ってしまうのならば……

一人わんこそばは やめておけ!

……ということになる。これは、まさに経験から出た深い教訓として
以下を読んでいただきたい。

休暇旅行で東北を周っての帰途、盛岡から特急で東京に戻るのは遅い
午後だったので、盛岡散策をしつつ腹ごしらえの候補として、わんこ
そばを食べてみようと考えていたのだ。

目指す店までは駅からぶらぶら歩きで30分ほど。店に入ると、平日の
せいかあっさり座敷に通されたが、その座敷にぽつんと一人というの
は何とも居心地が悪いものである。

でもって“わんこそば”を注文した。ややあってイクラとかもみ海苔
といった小鉢と、汁が飛ぶのを防ぐ前掛けなどが到着。仲居さんとの
一対一という……何とも気詰まりなわんこ大会が始まった。

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始まってすぐに気づいたのは、これはグループでやって来てワイワイ
騒ぎながら楽しくわんこするという、言うなれば娯楽というか遊びな
のだということだったのだ。

まあ、ちょこっちょこっと次々に椀に入れられる蕎麦を手繰りながら
手持ちぶたさな仲居さんと世間話をする有様は、ゐとをかしである。
腹は減っていたが気分がはずむことなく、結局のところ平らげた数は
32杯という体たらく。仲間とワイワイやれば勢いで数十杯いけるとは
後で聞いた話である。

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