板話§四月花形歌舞伎~仮名手本昼の部

若手花形による新橋演舞場四月公演『仮名手本忠臣蔵』昼の部初日を
観てきた。昼の部は大序から道行まで。

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大序幕開き前の口上人形がいつも楽しい。エーッヘン!と言いながら
出演する役者を読み上げるだけのことだが、仮名手本でしか見られな
い趣向なのでいつも楽しみ。今回は途中で口上を読み上げる人が交代
していたが、これまで聞いた時はそんなことはなかったような気がし
ているのだがどうだろう。

何を言っても初日のこと。若手だから台詞は入っているのは当然にし
ても、まだまだ舞台上の流れが有機的にというわけにはいかず、上演
時間も予定よりは押し気味だった。

ベテラン陣が色々と指導したであろうが、初日から見受けるに「とに
かく丁寧に務めなさい」ということを言われ続けてきたであろうこと
が、至極はっきりとわかる舞台だった。

特によかったのは四段目“切腹の場”での染五郎。普段は高めで返り
がちな口跡を、低く抑えての演技は、これまでとは違った意気込みと
感じることができた。残念ながら“評定”から“明け渡し”の頃には
高い声が勝ってしまったが、これも日に日にコントロールできるよう
になるだろう。

ところで、三段目“進物の場”の加古川本蔵が師直の居宅に招き入れ
られるところで義太夫が「そろばんの桁を違えぬ白鼠“忠義忠臣忠孝
の”道は一筋真直ぐに」と語るところ、忠義忠臣という部分をカット
していたことに、おやっと思ったのだが……。三段目までの鷺坂伴内
は橘太郎。相変わらず切れのいいキビキビした動きに眼が奪われる。

最後、実は苦手な『道行』である。城明け渡しまで、ずうっと緊迫感
に満ちた舞台続きだったのが一転華やかな舞踊というのは、口直しの
デザートという趣もあるのだろうが、どうも具合が悪い。今回のお軽
は福助、勘平は亀治郎だが、福助が中でも年長に過ぎて、せっかくの
花形座組のバランスを崩していたような気がしないでもない。

この日の大向こうは大車輪でうるさいくらいだったが、花形の初日と
いうことで、まさに花形を“激励”しまくる天井桟敷の助っ人のごと
くなのだった。                 

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