板話§中村座五月大歌舞伎夜の部[上]

立夏の候というには涼しい……というよりは寒いと感じられる土曜日
の午後、東京の西に住む我々が浅草まで長駆の遠征で、ロングラン最
終月の中村座夜の部に出かけた。

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夜の部の番組は3本。歌舞伎十八番の内『毛抜』に始まって、江戸随
一『志賀山三番叟』を勘九郎が踊り、最後が梅雨小袖昔八丈『髪結新
三』である。それにしても16時半開演で終演20時45分、途中の休憩が
20分と15分とは、いかにも忙しなくて参った。いつもながら中村屋の
時は、盛り込み過ぎて終演時間が遅くなるのはちょいとばかし困る。

他愛ない推理劇である『毛抜』は、何にも増して主役である粂寺弾正
がきっちりと演じられなくてはならないが、橋之助は姿はともかくも
弾正としての決定的な稚気が欠けていて、今一つ締まらなさを覚えて
しまった。脇がそれなりにしっかりしていても、主役が物足りないと
毛抜は成立しないのだ。

『志賀山三番叟』の前に勘三郎と小山三(数え93歳!)の口上があり、
今回の三番叟についての由来が語られた。小山三は今月の舞台はこの
口上だけだが、相変わらず達者で何よりだった。ここまできたなら、
新しい歌舞伎座の柿落としはもちろん、勘九郎長男の初舞台にも列座
して中村屋四代の世話をしていただきたいものである。

というわけで字数が尽きた。三番叟と髪結新三は次回ということで。
                            [続く]

【去年の今日】週話§日曜呟き~風薫る~~

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