燦話§太陽から逃げ回る年寄之圖

いまだに根っこのどこかが鈍感にできていて、しばしば同居人の怒り
を買うのはまことにもって申し訳なく不本意なことであると謝ってお
いて……。

結婚して数年ほどの頃だったから三十代半ば少し前だったと思うが、
初夏の道を歩くのに、何も考えずに日向を歩いていて同居人に叱られ
たことがある。

まだまだ若かったからなのか鈍感だったからなのかは記憶が定かでは
ないが、いずれにしても何も考えずに炎天下に近い太陽の下を歩こう
としていたのだった。鈍感な男が無神経に日向を歩くということが信
じられなかったようなのだ。

……かくして歳月が過ぎ、鈍感さは相変わらずだが体力はとっくの昔
に衰えはててしまい、太陽と真っ向勝負ができなくなったのである。
いまや我が身にとっての太陽は、ビタミンD供給源としての役割しか
与えられていないのである。

真夏に日陰を捜し求めるなど、とうの昔からするようになっていて、
さらに最近は角度が低くなった冬の日差しも避けるようになったとい
う体たらく。時折そのことに気がついて、人知れず苦笑することも珍
しくはないのだ。

思い返せば、夏休みの炎天下に校庭で汗みどろになってクラブ活動を
していた中学生時代は、太陽光線をはね返せる体力が体内に充満して
いたということだった。

休日に我が家の北側、廃校となった校庭の太陽の下で日がな一日サッ
カーボールを蹴っている少年達を遠い眼で眺める老人なのである。

【去年の今日】週話§土曜呟き~氷雨降る金曜日~

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