板話§奴道成寺~新橋演舞場~夜の部

今年最後の芝居見物は、十二月大歌舞伎夜の部。出し物は『籠釣瓶花
街酔醒』と『奴道成寺』終演が19時半前というのはありがたいこと。

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さて一本目は籠釣瓶。菊五郎の次郎左衛門と菊之助の八ツ橋とともに
初役。菊之助の初役はともかくも、菊五郎が初役とは意外な思いがし
た。ちなみに菊五郎は八ツ橋は務めている。

確かに、サラリとした菊五郎の芸風には恨みを募らせていく次郎左衛
門のような性格の役は合わないだろうと何となく思っていた。それが
特に縁切りの場で徐々に八ツ橋への殺意をみなぎらせていく……その
気迫は見るべきものがあった。

いつもはほにゃららと舞台を務めているように感じる菊五郎が見せる
凄みに3階席からたじろいでいる自分に気がついたのだ。

菊之助の八ツ橋は力みが感じられたが、それも若い花魁の一途さの表
れとプラス方向に評価するべきだろう。あまり淡々と愛想尽かしをし
ようものなら、手練の花魁と受け留められかねないだろう。

というところで40分の休憩が入って、三津五郎の『奴道成寺』が続い
た。通常の道成寺とは違って、白拍子花子が実は狂言師左近だったと
いう……そういう趣向がおもしろいかというと、あまりよくわからな
いのだった。もちろん三津五郎の舞踊はいつもながら見事なものでは
あったのだが。

今月の楽しみは昼の部『御摂勧進帳』通し狂言だったが、通して観れ
ばパロディーとしての出来に感心すること少なく、蓋を開けたら『籠
釣瓶』が今月の見ものということのようだ。

【去年の今日】週話§土曜呟き~麻婆豆腐~

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