檜話§人生の残り時間と楽しみと・・・

先週、武蔵野で『美しき水車屋の娘』を歌ったマウロ・ペーターは、
1987年生まれの26歳なのだった。

自分より30歳以上も若い歌手が活躍を始めているという現実を見て、
さてと計算を始めた。クラシックの歌手が円熟するまでには20年の月
日が必要と大雑把に見立てると、彼の充実した姿に接する頃の自分は
八十代に近づいているのだ。

1980年にオペラを観るようになって、たぶん世代が1回転半から2回
転になろうとしているような気がする。50年も親しんでいれば確実に
3回転はすることになるだろう。

マウロ・ペーターは自分にとっては3回転目の最後の歌手になるんだ
と想像している。

というクラシック歌手のサイクルとは別に、2001年から本格的に観始
めた歌舞伎のサイクルがまた独特であるとは、何回か書いていること
であるが、しみじみ20世紀のうちから観ていればよかったなあと少し
だけ後悔しているのだ。

例えば、今の勘九郎が“ひとかどの役者”と歌舞伎の世界で言われる
までには10年ではなく20年が必要だろう。がんばって生きれば、彼の
円熟は見届けることができるだろう。

だが勘九郎の息子で、初御目見得も初舞台もまだの七緒八(なおや)君
はどうかと言われると、花形で演じる姿を観ることができるかどうか
という瀬戸際である。

なるほど舞台は生き物であると痛感して、体力と知力、懐具合の限り
はせっせと通いましょうという繰り返す人生なのだな。

【去年の今日】測話§大きさとか具体的に理解させる

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