仏話§シュトゥットガルト放送響[下]

[承前]

休憩後にも2曲というのは盛りだくさんである。3曲目はラヴェルの
『マ・メール・ロワ』――イギリス伝承童謡『マザー・グース』――
で、ドゥネーヴはオーケストラから繊細な響きを引き出していた。こ
の曲の実演を聴くのは1977年チェリビダッケが初来日し、読響を振っ
て以来だから36年ぶり。

すっかり曲を忘れていたが『美女と野獣』でのコントラファゴットを
聴いて、そういえばそうだったと記憶が少しだけ甦ってきた。

そうではあるが4曲も演奏するとなると、やや地味めなこの曲は割を
食ってしまったという個人的印象。もちろんデリカシーに富んだ淡色
の音楽は十分に美しいのだが、他の3曲がきっぱりとした印象である
だけに損をしたような気がしないでもない。自分の聴き込み不足が影
響していることも否定はしないが。

最後のドビュッシー『海』は、録音で聴くフランス系オケに比べると
明らかに骨太な音楽に仕上がっていた。いくつか放送響系オケと同様
に、このオケも腕達者ではあるが色彩感というと引き出しの少なさを
感じてしまう。

だが、固定化されたような“印象派”という音楽のイメージを払拭す
るようなパワフルな表現を聴いていると、これもまたドビュッシーの
音楽であることに間違いないのだと気づかされた。

存分にオーケストラを鳴らしてくれたドゥネーヴに対して、客席から
盛大な拍手が送られた。それに応えたアンコールが、ビゼー『アルル
の女』からファランドールとは、すっかりとどめを刺されたようだ。

終演は21時15分。新宿で軽く食事でもと思ったが、地下鉄の接続が悪
く、新宿到着が22時頃となってしまい、結局は帰宅して食べる羽目に
なってしまった。

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