祝話§柿葺落四月大歌舞伎第三部

[承前]

第三部は、もう一つの陣屋物である近江源氏先陣から『盛綱陣屋』と
『勧進帳』の2演目である。二部と三部の間に夕食の弁当を食べた。

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さて、仁左衛門の盛綱と吉右衛門の秀盛という、第一部の熊谷からは
“攻守ところを変えて”の舞台。これもまた『熊谷陣屋』に劣らない
濃密な空気を醸し出していた。やはりというか、仁左衛門の細やかな
演技と吉右衛門の豪放磊落な演技……看板役者はがっぷり組み合った
舞台の充実である。

2人の子役が登場。特に小四郎はしどころの多い役だが、8歳の松本
金太郎がしっかりと舞台を務めてくれて客席を沸かせた。そして1歳
年下の藤間大河が盛綱一子小三郎を、同じくしっかりと務めおおせた
のだった。

翫雀の伊吹藤太、橋之助の信楽太郎という面々が脇を固めていたが、
いずれ橋之助が盛綱のような役を務めることがあってほしいものだ。

盛綱を観るのは、襲名興行で勘三郎が盛綱を演じて以来2度目。今回
は流れがちゃんと把握できた。回数を重ねることで見えることもあっ
て、一回目は筋を追うだけで精一杯だが、今回は微妙な人間関係の綾
といったところまで観察できたのは役者の技もあるだろう。

さて『勧進帳』だが……一言だけ。幸四郎の弁慶は、もう要らない。

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