拿話§おのれナポレオン~野田&三谷~

一人だけでもチケットが瞬殺で売り切れる野田秀樹と三谷幸喜、それ
が二人の舞台となった時のチケット争奪戦は絶望的なものだったが、
最後の最後で何とか確保して池袋に出かけたのは5月1日のことだ。

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開演一時間ほど前に芸劇到着。チケットを引き取って、近くのカフェ
で軽くお腹を満たし、準備万端でプレイハウスに。ゲットできたチケ
ットは1階最後列の補助席だった。

張り出し舞台の上で展開したのはナポレオン死後20年、彼の死に疑問
を抱いた医学生が、セントヘレナ島でナポレオンと関わった人達から
話を聞く……という導入部から舞台はセントヘレナ島へ。

野田はナポレオンと同様に小柄な体躯を敏捷に運動させ、速射砲の台
詞回しと合わせて――志村けんのバカ殿を思わせるが――劇場空間を
支配していく。時に尊大、時に無邪気、時に気短を自在に。

野田に対する役者5人、天海祐希(ナポレオンの愛人アルヴィーヌ)、
山本耕史(副官モントロン伯爵)、今井朋彦(医師アントンマルキオ)、
浅利陽介(従僕マルシャン)、そして内野聖陽(総督ハドソン・ロウ)も
また、がっぷりと組み合って隙のないアンサンブルが生まれたのだ。

題名の“おのれ”は、フランス語の“オヌール(名誉)”との語呂合わ
せともなっている。ナポレオンは自らの名誉を保つために5人を巧み
に動かした。その結果が“毒殺”という形の“自殺”なのだったと、
チェスも得意としていた稀代の戦略家が周到に己が身の始末をつけた
のだった。

三谷の脚本はやや浅いかという印象を持ったが、だからといって休憩
なし2時間20分という長さが弛緩するようなことはなく、ナポレオン
最後の台詞までをきっちりと締めてみせた。なるほど、トップクラス
の面子が集まるとこういうものができあがるということなのだな。

【去年の今日】諧話§一日一句~コンデンスミルクも~

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