愉話§呑藝春秋[3]酒は泪か溜息か

[承前]

仕事が終わって疲れを癒そうと酒を呑みはするが、ウサ晴らしの酒は
呑まないのだと……それは何度も書いていること。

店に入り、ビールからスタートと決めて幾星霜。喉を鳴らしてグラス
の中身を干したところで溜息をつく。その溜息は“泪か溜息か”の溜
息とは別物だと思っている。すまりはポジティブな溜息なのである。

歌のほうの溜息は諦念で、ビールを呑み干す我が溜息は体内の疲れを
吐き出す呼吸法のようなものだと考えればいい。その日一日かけて貯
まった澱みをすっきり吐き出すためのドーピングということなのだ。

そういえば泣きながら、あるいは涙を流しながら酒を呑んだという記
憶もなかったりする。もっとも、泣いたり涙を流したりということ自
体が稀でしかないので、これは考慮に入れなくてもいいだろう。
                            [続く]

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