楽話§リヒャルト・ワーグナー200歳

リヒャルト・ワーグナーは1813年に生まれて1883年に死んだ。彼の人
生のすべては19世紀の中なのだった。かくして2013年5月22日、生誕
200年を迎えたのである。

彼が生まれて半年も経たない間、ザクセンはナポレオンとの大きな戦
いを行っている。ドレスデンでは8月に、ライプツィヒでは10月に。
銃声や砲声が轟く中、乳飲み子のワーグナーは安らかに眠っていたで
あろうか。

三十代半ばの1848年には“ドレスデン蜂起”に加担した揚句、指名手
配者として10年以上の亡命者生活を送る羽目にもなったり、女性関係
にせよ、借財を膨らませることにせよ、すべてがワーグナーの人生を
“華麗に”彩っているのだ。

無頼な生活を送りながら、巧みな世渡り術で自作品のみを上演する劇
場を建てたり……当然、そうしたことに見合った作品を世に送り出す
という才能も持ち合わせていたわけだが。

かくしてワーグナーの“総合芸術”は21世紀の我々にとっても貴重な
財産となって、時には我々を戸惑わせもする……麻薬であり、媚薬で
あり、毒薬でもあるのだ。

そして、あと一週間でストラヴィンスキー『春の祭典』初演100年
の日を迎える。19世紀の怪物と20世紀の傑作が1週間の間に区切りの
記念日を迎えるのである。

追記:この日はまた、吉田秀和の一周忌でもあるのだ。

《憬話§我々の“バイロイト音楽祭”2008.08》

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