愉話§呑藝春秋[4]日本人の酒

[承前]

日本人の飲酒行動について考えてみる……それほど大げさなものでは
ないが。

東京の新橋といえば、サラリーマンの聖地で駅前に始まって居酒屋が
軒を連ねている。高級店から大衆的な店、はたまた立ち呑みの店に至
るまで、懐具合に応じていかようにも選択の余地はある。

かくて、夜な夜なサラリーマン&ウーマンが群れ集って酒宴之圖と相
成るという仕掛けなのだ。会社の同僚と連れ立って居酒屋に繰り出す
のが日本的な現象なのかどうかはわからない。

ミュンヘンのビアガーデンに行った時は夕方に近かったが、近くのテ
ーブルには10人近い会社帰りとおぼしき集団が1リットルのジョッキ
を前にして賑やかな談笑をしている姿があった。

前も書いたことだが、彼らはつまみを食べずに延々とビールを呑んで
いる。特に夕食はハムやチーズといったコールドミール程度でビール
やワインを呑んでおしまいという日常である。

我々日本人が居酒屋で、煮込みやら焼き鳥、冷奴に枝豆をと何種類も
注文してビールから日本酒と呑みかわすのとは、ずいぶんと風景が違
っていた。

それにビールの1杯か2杯を思い思いに呑んで出入りも自由、帰りた
くなったら“お先に失礼~”と席を立つ。日本だったら1回の居酒屋
で、安くても一人2000円~3000円のところ、彼らが払うのはせいぜい
1500円(為替レートで変化するが)足らずだろう。

同僚と気軽に呑むという形態もまた、人によって、そして国によって
違うということなのだ。
                            [続く]

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