祝話§柿葺落六月大歌舞伎第一部

3か月続いた三部制興行の最終月、まずは第一部を観てきた。座った
席は3階最上部の10列目。以前の歌舞伎座だったら最前列でも見えな
かった花道七三が余裕で見えるっていうのはうれしい。

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というわけで『鞘當』は日曜雑感で書いたとおりで、20分ほどの舞台
は役者を愛でるという、そんな時間だったような気がした。

さて三津五郎の『喜撰』はまさにワンマンショーの趣き。ふんわりと
柔らかい踊りで客席を心地よく集中させていく。てっぺんから双眼鏡
で観察すると、所化若い達が単に手をひらひらさせて踊っているとこ
ろを、三津五郎はひらひらの中に一味加えて見せているということに
気がつく。そういうことの一つ一つが三津五郎をして踊りの名手と言
わしめているということなのだ。

30分と短い舞台だが、今の歌舞伎の踊り手で三津五郎以外、他の誰が
あの空間を支配できるだろうか。

さて吉右衛門の『俊寛』を観るのは何度目だろうか。赦免されて都に
帰ることをひたすら願い待ち続けるところにやってきた赦免船だが、
仲間の妻となった海女を都に帰すことで、自らの帰参を諦めるという
話は、実は苦手だったりする。

苦手ではあるが、吉右衛門以下整ったアンサンブルで繰り広げられた
一場の佇まいはまた、じっくりと腰を据えて観るべき芝居なのだ。

赦免船が去った後、舞台が回って俊寛一人が岩山に残って船を見送る
……舞台床は一面の海となった美しさは、三階席からの見もので、一
階席では味わうことのできないぜいたくなものだった。

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