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zoom RSS 板話§納涼歌舞伎第三部〜狐狸狐狸〜

<<   作成日時 : 2013/08/21 00:00   >>

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[承前]

『狐狸狐狸ばなし』は、北條秀司脚本の他愛のない喜劇で、10年前に
一度観ているが覚えていないことはなはだしいものがあると思った。

画像

浮気をしている坊主の重善(橋之助)と女房おきわ(七之助)を懲らしめ
ようと、上方歌舞伎の役者だった伊之助(扇雀)が又市(勘九郎)と仕組
んだあれやこれや……話は二転三転していくのであるが。

前回観た時の伊之助は当時の勘九郎、おきわは福助で坊主の重善は当
時の新之助という座組だったが、完成度は今回のほうに軍配が上がる
ような気がする。

その理由は、伊之助を演じた扇雀のいかにも上方風にふっくらとした
様子と演技にあるのだと思った。

今回の納涼歌舞伎の最高殊勲は誰かといえば、迷うことなく扇雀だと
言うことができる。第一部『野崎村』の久松、第二部『髪結新三』の
手代忠七、それに『狐狸狐狸ばなし』の伊之助と、それぞれ、自分の
持ち味をよく生かして舞台を務めてくれたのである。客席の反応もよ
く、肩の凝らない芝居を堪能することができた。

最後の演目『棒しばり』もまた、亡き勘三郎と三津五郎の組み合わせ
で楽しませてくれた狂言だった。今回の座組は次郎冠者(三津五郎)、
太郎冠者(勘九郎)、曽根松兵衛(彌十郎)。

これはもう三津五郎の踊りに尽きる。勘九郎も卓越した踊り手である
のはもちろんだが、三津五郎の踊りの充実度はその上をいっている。
踊りの間に余裕があって、決してこせこせしたところがない。安心し
て観ていられるのだ。

三津五郎が踊る様を、座り込んだ勘九郎が呆けた顔をして見ていたの
だが、その顔に父親の面影が強く浮き出ていたのには驚いた。

終演は21時過ぎ。この時間になると、歌舞伎座から我が家まで車を運
転して帰れるのはありがたい。

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