懐話§昭和三十年代~量り売りの菓子~

[承前]

子供の頃、家から大通りを渡った少し先に、量り売りの菓子屋があっ
た。

長方形でガラスの入った木枠の蓋が付いた菓子箱がいくつもならんで
いて、客が欲しい菓子を店員に告げると、小さいスコップ様の器具で
菓子を袋に入れ、はかりにのせて100gの単位で代金を払うのである。

もちろん、チョコレートやキャラメル、ガムといった菓子類も売られ
ていたが、メインはあくまでも量り売りの菓子なのだった。菓子箱に
はいっていたのは、ビスケットやクラッカー、あるいは煎餅やあられ
といったものだったか……記憶がかなり薄れてはいるが。

他愛のない子供にしてみれば、ずらりと並んだ木箱の中に、あんな菓
子やこんな菓子が種類豊富にという光景は夢のようなものである。

そんな量り売りの菓子屋は生まれ故郷の街に何軒もあったと思うが、
それらがいつ頃になくなってしまったものかも覚えてはいない。東京
に出てくる頃まで残っていたとすれば、昭和四十年代までということ
になるが定かではない。

そんなことをふと思い出したのは、ベルリンの大きなチョコレート専
門店のトリュフ・タイプ各種が一個あたりの値段ではなく100g単位で
量り売りしているのを見たからなのだ。
                            [続く]

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