板話§芸術祭十月大歌舞伎~夜の部~

秋の深まりとともに気温も下がり、長袖のお出ましを乞うた土曜日の
午後、十月大歌舞伎夜の部に出かけてきた。昼の部の感想はこちら

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『義経千本桜』の後半『木の実』『小金吾討死』『すし屋』と続いて
大詰『川連法眼館』までたっぷりと堪能した。

まずもって仁左衛門の権太が見事な舞台。いかにもな上方の小悪党を
細かく丁寧に描写してみせた。しかも愛敬たっぷりだったり、凄みも
同様のこと。

右肩腱断裂という故障を抱えていたので、右手はほとんど使わずに演
技を続けた。『木の実』でドングリを落とそうと石を投げるのも左手
だったし、煙管遣いも左手。右手は常に懐手だったりしたが、負傷し
ていることを知らない客だったら、そんなものかと思うくらい巧みな
演技を見せたのだった。治療、養生して来年には元気に復帰を希望。

大詰の『川連法眼館』は、さすがに菊五郎の老いは隠せず、狐忠信の
けれんは、安全運転に終始したのはしかたのないところだろう。その
分、佐藤忠信の演技は手練なものを感じた。

ということとは別に、この日は狐忠信のけれんを初めて観る客が多か
ったのかどうか、揚幕チャリン&出があるよ!という一連の細工につ
られて、階段から現れた狐忠信の姿にしばらく客席のザワザワが続い
ていたのを2階東桟敷から眺めていたのである。

権太も忠信も、脇を固めた役者が充実していたことは忘れずに付け加
えておく。

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