連話§ワタシの酒肴[75]定食屋の言い分

[承前]

ファミレスが定食屋の代わりになるかといえば、なるわきゃない!と
瞬時に断定してしまいたい。

……あんな小ぎれいな洋食屋の成れの果てみたいな店は、間に合わせ
として入りはするが、仕事帰りに1杯呑んでなどと目論むには完全に
失格である。

定食屋がいいのは定食だけでなく、酒肴になりそうな一品惣菜が何種
類も並んでいて、客にしてみれば腰を据えて切り干し大根の煮物やら
ポテトサラダとかを前にビールだ!日本酒だ!焼酎だ!と好き放題が
できちゃうのだ。

特に独身時代には、最寄り駅に何軒かあった定食屋にはお世話になっ
た。その頃は食べ盛りの若さだったので、酒はビール程度でそそくさ
と済ませて、ガッツリ系の定食を手早くかき込んで店を出た。長っ尻
をするようになったのは、酒に味をしめるようになって以降のことで
ある。

ところで、家庭の味が定食屋に反映されたのか、その逆であるのか、
よくはわからないが、昭和の頃の男どもの食生活の傾向とか嗜好が、
どうもそのあたりにあるのは間違いのないところ。

だから自宅にあっても、いまだに“朝ごはん定食”と称して、ベーコ
ンエッグやらハムエッグを作ってもらっては悦に入っている他愛のな
い熟年男なのである。
                            [続く]

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