春話§浅草歌舞伎第二部[下]

[承前]

休憩後は、まず恋飛脚大和往来『新口村』が、愛之助の忠兵衛と壱太
郎の傾城梅川の共演による舞台。さすがに23歳の壱太郎には荷が勝ち
すぎるところ。型どおり演じていても動作に滑らかさがなく、それを
会得するまでにはまだまだ時間が必要なのだなと思った。大歌舞伎の
“おじさん達”は何気なく演じてみせているが、それが時間をかけて
培われてきたものなのだということも合わせて理解できる。

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愛之助は柄こそ小さいものの、仁左衛門譲りの柔らかな忠兵衛を丁寧
に演じていた。

とはいえ、若手中心の浅草歌舞伎『新口村』の舞台を締めたのは、孫
右衛門を演じたベテランの橘三郎。後半20分くらいの舞台は橘三郎の
もので、忠兵衛と梅川を逃がした後の滲み出るような惜別の情は、第
二部一番の見ものと言っていいだろう。

最後に『屋敷娘』と『石橋』の舞踊二題。壱太郎、米吉、梅丸という
若手女形3人の『屋敷娘』は、はんなりと初々しい舞台。とはいえ、
女形の踊りの難しさが浮き彫りになったのもまた事実。踊りの動作の
繋ぎがぎくしゃくしたりして、硬いこと硬いこと。さらなる稽古が必
要だと本人達も思っていてほしい。

最後の『石橋』は、歌昇、種之助の兄弟に隼人3人が獅子の精を元気
よく舞ってみせた。女踊りに比べれば、足を踏み鳴らしたり飛んでみ
せたり、毛を振ってみせたりだから客席も沸いてくれる。中では歌昇
が踊りのうまさを見せているが、隼人は腰高な踊りで、兄弟とは差が
あると感じた。二十歳前後の歌舞伎役者……覚えることは、まだまだ
たくさんあるのです。

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