鎌話§二月花形歌舞伎夜の部~白浪五人男~

[承前]

秩父宮ラグビー場を出て、外苑前から銀座線で銀座まで一本。16時過
ぎには歌舞伎座に到着して夜の部の開幕を待った。

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青砥稿花紅彩画『白浪五人男』の通しを観るのは3回目になるはずだ
が、例によって肝腎な部分の記憶がないというのは困ったものだな。

大雑把に言えば、おもしろかったの一言である。まずもって菊之助の
弁天小僧がいい。父親菊五郎の味わいも捨てがたいが、何よりも姿の
美しさがあり、口跡爽やかな台詞回しも耳に心地よい。

その他、七之助の赤星十三郎に亀三郎抜擢の忠信利平がうれしい収穫
である。亀三郎は舞台姿はもちろん、気風のいい台詞回しで期待して
いたのだが、菊之助とは音羽屋繋がりということもあり、この先いよ
いよ重宝されるようになっていくだろう。

松緑の力丸、染五郎の日本駄右衛門といったあたりが舞台で重しのよ
うな雰囲気を醸し出すまでには、今しばらくの時間が必要になるのは
役柄とはいえ先の長い話ではある。

そして浜松屋の場は團蔵初役の幸兵衛がいい。橘太郎の番頭は、安定
の当たり役で、彼以外には考えられないくらい……それにしても、蔵
前の場の親子逆転の舞台は、何度観ても“え、え、えー!”なのだ。

舞台進んで稲瀬川勢揃で気がついたことは、花道のつらねも舞台の名
乗りでも赤星十三郎の時にはツケ打ちがなかったということである。
見得と合わせて、小姓上がりの十三郎を印象付ける演出。

ダイナミックな舞台機構を駆使しての立ち回りは、菊之助が大奮闘。
父親の3倍くらいは動いてみせた後の台詞も息が切れていたとは見え
ずに見事。

勘三郎、團十郎の死に始まり、歌舞伎座新装から一年近く、二月花形
歌舞伎は、世代交代を強く印象づけるものとなりそうである。

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