眉話§歌劇場の音楽監督ではないのだが

偽ベートーベン――通常はベートーヴェンと表記するが、正しく表記
するにはあたらず
――“さむらかわちのかみ”の一件が今だくすぶっ
ているこの時期、何とも怪しいではないかという件が起きていた。

某日本人指揮者が“日本人初!ボローニャ歌劇場の芸術監督に就任”
という見出しに驚いて本文を読むと“ボローニャ歌劇場フィルハーモ
ニーの芸術監督”ということだった。見出しと中身の呼称が違うこと
をおかしいと思わない報道感覚も信じられない。

気になったので調べてみることにした。まず、ボローニャ歌劇場の名
称は“テアトロ・コムナーレ・ボローニャ”とある。コムナーレはイ
タリア語で自治体とか市町村といった意味合いなので、ボローニャ市
立歌劇場
という呼び方でいいだろう。

その歌劇場に専属しているオーケストラは“オーケストラ・デル・テ
アトロ・コムナーレ・ディ・ボローニャ”すなわちボローニャ市立歌
劇場オーケストラという日本名となるはずである。

で、件のオーケストラのイタリア名は“フィラルモニカ・デル・テア
トロ・コムナーレ・ディ・ボローニャ”
という、歌劇場オーケストラ
のメンバーによって構成されている別組織――ホームページも別――
で、独自にコンサートを行っているようだ。

クラシック愛好家の視点からすると、歌劇場とそのオーケストラの各
が一段上で、フィラルモニカはそれに次ぐ団体という見方ができるだ
ろうか。

ちなみに、本体のホームページでは13日現在人事の発表は行われてお
らず、おそらくは本人筋からの先行発表に報道が乗せられたという印
象が大きい。この指揮者、数年前にも経歴の問題で訴訟沙汰を起こし
ていたことを思い出したが、今回も事実以上に見せかけようという意
図が透けて見える。

報道機関にしても、本人筋からのリリースをノーチェックでラインに
のせる前に、身内にいくらでもクラシックに詳しい人間がいるだろう
にと訝しく思うのである。そういう報道姿勢が佐村河内事件の舌の根
の乾かないうち、既に懲りていないのである。

例によって今回の一件も、一般報道のおかげでクラシックに薄っすら
とした高級イメージを抱いている一般人からの反応がツイッターでも
散見していた。事情のわかっている人間数人が、今回の報道に疑問を
投げかけているが、残念ながらマイナーなつぶやきでしかない。

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