懐話§昭和三十年代~昔はよかった?~

[承前]

「昔はよかった」という人がいるのだけれど、本当に心の底から昔は
よかったと思っているのだろうかという疑問である。

単純に、ある時代にいい思いをしたとか、ちょっとばかりポジティブ
なノスタルジーの産物じゃないのと思うのだけれど。

今のほうがいいだろうということは、例えば新幹線で大阪まで3時間
を切るから……なる、利便性のようなものが向上したということを指
しているわけではない。

思い出すのは、未舗装の砂利道を走るバスの中で車酔いしたことや、
10万人規模の都市であっても、バキュームカーや汲取りのリヤカーが
日がな走り回っていたりといった、衛生面のことだったりするのだ。

あるいは、誰彼となく道に痰を吐き出したり、喫い終わった煙草は適
当にポイ捨てする、さらに物陰で立小便が横行していたりなどなど。

自分が小学生だった頃がどうだったのか記憶を手繰り寄せるだけで、
ああいうことや、こういうことは今はなくなってよかったと、心から
ありがたく思うことばかりである。

とはいえ、今時のマナーが向上しているかといえば、電車内における
一心不乱の化粧姿であったり、携帯電話のあんなことやこんなことに
始まり、結局のところは新しい困った種が出現し続ける中にあって、
ふと“昔は……”と思わず口に出したりするのだろう。
                            [続く]

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