愉話§呑藝春秋[15]居酒屋の居心地

[承前]

よんどころなくの間に合わせはさておき、居心地の悪い居酒屋など、
あったら困るし、そんな店に行くはずなどあり得ないと思うのだが。

居酒屋に行くのは、ただ単に酒が呑みたいとか、ちょっとした酒肴が
食べたいという、それだけの理由ではない。何度も書いているので、
今さらながらなのだけれど、一人呑みであれ、複数で呑む時であれ、
居心地こそが居酒屋にとって一番に大事な条件なのだと考えるのだ。

平日であれば、仕事の場から家に帰るまでの、少しばかり長めな舞台
転換としての役割も大きくて、違う景色を眺めつつ自分を取り戻す時
間なのである。

居酒屋の居心地は、我が家の居心地とは当然ながら質が異なっている
わけで、どちらが優れているとかいった次元でないのはもちろんのこ
と。

家に帰りたくない“お父さん”の中には、居酒屋を家庭だと仮想して
入り浸る人も少なからずいるんだろうなあ……とは思う。個人的には
そこまで居酒屋にのめり込むことなどはないのだけれど、世のお父さ
んには家に帰りたくない人もいるのだということも理解はしている。

居酒屋とは、つかず離れずというほどほどの間柄で、この先も楽しみ
たいと思うのだ。
                            [続く]

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