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zoom RSS 懸話§三月大歌舞伎〜吉右衛門の弁慶〜

<<   作成日時 : 2014/03/25 00:00   >>

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三連休初日の金曜日、三月大歌舞伎夜の部を観てきた。おめあては、
もちろん吉右衛門が弁慶を務める『勧進帳』である。

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終演が21時で遅いことと、同居人の知り合いを伴っての観劇につき、
車での往復にしたが、木曜日に起きた首都高3号線の火災と連休渋滞
が重なり、歌舞伎座まで2時間のドライブとなってしまった。

1本目『加賀鳶』は主役が幸四郎で、あまり期待できないから渋滞で
遅れてもよかったのに間に合ってしまった……で、予想したとおりの
退屈さ。竹垣道玄という小悪人の按摩が単なるチンピラ以下になって
しまう芝居は、工夫して演じれば演じるほど“ドツボ”に嵌る之圖。

30分の休憩があって『勧進帳』の幕が開く。歌舞伎座には珍しいほど
客席が集中する中を菊五郎の富樫が登場。そんな客席に反応したのか
冒頭の台詞からきっちりとした口跡が幸先よく耳に響いてくる。

そして揚幕から、藤十郎の義経、四天王に続いて吉右衛門の弁慶が登
場。客席の空気がここまで緊張感を帯びた『勧進帳』は初めてではな
いかと、固唾を呑みつつ舞台を凝視するのだ。

小細工の欠片もない吉右衛門の弁慶には何の文句のつけようもなく、
千回以上務めていることが役に立っていない幸四郎を見ていると、数
が力になっていないことを思い知らされる。ちょっと調べてみたが、
この20年で吉右衛門が本興行で弁慶を務めたのは、延べにして150
回程度でしかない。

そんなに頻繁に務めてはいけない役だということが、今回しみじみと
理解できた。

数年前に観た時は、へろへろの六法で揚幕に飛び込んでいったのが、
今回は気力が充実していたせいか、疲れを見せることなく花道から揚
幕へと。そしていつもより長めの拍手を聞くことができたのである。

最後『日本振袖始』は素盞嗚尊(スサノオノミコト)の八岐大蛇退治の
お話。勘九郎のスサノオが、相変わらず切れのいい動きで客席を沸か
せた。今月夜の部の見ものは吉右衛門の弁慶と勘九郎のスサノオとい
うことだった。

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