週話§土曜日乗~いよいよ桜~

我が家から最寄り駅に向かうバス道路の桜並木がちらりほらりと開花
していた。一枝数個程度で、気がつかずに通り過ぎてしまうレベルで
しかないが、桜の季節の扉がかすかに開いたというところである。

都心の開花からはおよそ3日ほどの遅れで、都心で開花宣言が行われ
た頃、我が家あたりの桜の蕾は固く閉ざされていたのが、木曜日には
赤みを帯びていたのだ。

赤みさえ帯びれば、時間をおくことなく開花という段取りになるわけ
で、この土日はまだちらほらに毛が三本だろうけれど、週が明ければ
日を追って満開へとまっしぐらになるだろう。

日本人にとって、桜のない春などは考えられるはずもなく、心の奥底
では、桜が咲くことで春がやって来たことを反射的に認知する本能が
植えつけられているのかもしれない。

……48年の拘置所生活から木曜日に釈放されたこの人の眼に、花開い
ていく桜はどのように映るだろう。到底推し量ることなどできない。

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