人話§歌舞伎役者伝~坂東亀三郎~[15]

[承前]

2008年頃に“歌舞伎役者伝”というタイトルで、気になる歌舞伎役者
を何人か挙げて彼らへの思いをまとめたことがある。あれから6年が
過ぎたところで、改めて目に立つ役者何人かを紹介しようと考えた。

再開第一回(通算15回)は坂東亀三郎である。1976年生まれというから
38歳とは、花形の盛りにあると言っていいだろう。つい2月の花形歌
舞伎『白浪五人男』でも忠信利平を務めて、メリハリのある声と演技
が好印象だったと記憶に新しい。

10年ちょっとでも歌舞伎を観続けていると、時に“また、同じ役者が
同じ役”というのに出合って食傷することがあり、そういう意味では
亀三郎が成長してきたことが頼もしいのである。

大歌舞伎立役が少しばかり手薄になりつつあるこの2、3年の間に、
気がついたら顔が売れるようになっていた。この先も花形から大歌舞
伎に向かって順調にいい役をもらい、きっちりと脇を締める役者に育
っていってくれるだろう。

今はまだ、持ち役を少しずつ増やしている最中で、さて彼の適役はと
考えてしまうのだが、四十の声を聞くあたりには“彼にはこの役!”
という像がはっきり見えてきそうな気がする。

亀三郎には亀寿という弟がいるのだが、役者としてはまだまだ線が細
い。ではあるが、亀三郎がそうだったように、2、3年もすれば役者
としての形が見えてくることを期待しているのだ。
                            [続く]

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