懐話§昭和三十年代~米穀配給通帳~

[承前]

昭和が終わる頃には無用の長物ではあったが、なぜか廃止されないま
まだったのが“米穀配給通帳(米穀通帳)”なるものである。一世帯に
必ず一冊あって、米を買う時に必要だというものだったが、実家で見
たことは一度もなかった。詳しいことはこのページを読んでほしい。

戦後においては配給米と、ほとんど黙認ともいえる“闇米”が米屋で
も買うことができたという法秩序が存在していない状態が続いていた
のだが、1960年代終わり頃に自主流通米制度が始まったことで、米穀
通帳の必要がなくなってしまったのだ。

それにしても、制度はあくまでも残しながら徐々に中身を骨抜きにし
ていくというやり方は、行政府で仕事をする人達が最も得意としてい
るところではあるまいか。

1973年に実家を出て東京で一人暮らしを始めた時、当然ながら米穀通
帳は生きていたのだが、新たに発行してもらうこともなく、米屋に行
けば別段の誰何もなく白米を購入することができた。

もちろん値段の高い自主流通米などは論外で、標準価格米と呼ばれて
いたノーブランド米で糊口をしのいでいたのである。ちょいとばかり
贅沢をしてブランド米を口にするようになったのは、結婚して以降の
お話なのである。
                            [続く]

《昭和のトピックス一覧》

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック