街話§神保巷塵[3]街は生きている

[承前]

近くで仕事をしていたにもかかわらず、行く機会が一度もなかった店
の一つに焼鳥の“家康本陣”があった。この居酒屋もつい先月店を閉
めてしまった。

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店構えが大仰に感じられたのが足を踏み入れなかった理由だったりす
るのだが、ちょっと残念なことではある。

後を継ぐ者がいなければ、どんなに繁盛していても個人店は消滅する
運命にあって、それが何とも理不尽な話だなと口惜しい思いなのだ。

とはいえ、そうそう都合よく物事など運ばないということくらいわか
っているのだ。30年を超える神保町暮らしをしている間に、馴染んで
お世話になった店を何軒か見送ったわけである。

そんなセンチメンタルなことを考えるとは年を取ったものだとしみじ
み思うのだけれど、それは定年で仕事を辞めた人達の多くが、馴染み
の店を何軒か持ちながら、長く通っているうちに閉店の現場に出くわ
すという、そんな人達の仲間入りをしたということに気がつくのだ。

……と、昼飯散歩をしているうちに、旧錦華小前の工事現場に行き着
いた。ひょいと見上げた重機に書かれた文字が“カツオオ”とはこれ
いかに『サザエさん』ですか、などと呟いているうちに、これは……

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……“オオツカ”の右書きだと思い至って orz でしたのよ、奥様!
そうして思い出したのが、こんな過去
                            [続く]

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