英話§不破留寿之太夫~文楽~国立劇場

先週土曜日の19時開演で、国立劇場小劇場で行われた文楽公演『不破
留寿之太夫(ふぁるすのたいふ)』を観てきた。結論から言ってしまえ
ば十分に楽しめた。とてもおもしろく秀逸な公演である。

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粗筋は、自分にとってなじみのない『ヘンリー四世』を下敷にして、
フォルスタッフと楽しく遊んでいたハル王子が、父の死によって王位
を継承し、そこでフォルスタッフを国外追放にというものだった。

そのメインの筋に『ウィンザーの陽気な女房達』で、フォルスタッフ
が二人の女性に恋文を送ったことでやり込められるというエピソード
を加えて話をふくらませたのだ。

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舞台美術や衣装も、従来の文楽のそれとは、かなりかけ離れた異質な
空間が広がっていた。不破留寿之太夫のかしらは、今回の公演のため
に新しく作られたもので、その存在感はなかなかなものといえる。

通常の公演においては顔を見せる人形のだが、今回は全員が頭巾で顔
を覆い隠していた。それが奏効したのかどうか、人形が生き生きと動
いていたように感じたのだった。いつもは主遣いの顔を見ることが多
いということもわかった。

今回もう一つの驚きは、鶴澤清治の三味線。何気ない節を弾いた時の
音の切れ、そして物言う三味線という……背筋がゾクっとしたのだ。

幕切れは、国払いを受けた不破留寿之太夫が、下手側客席通路を悠然
と歩いて去っていくという印象的なもので、舞台から見送る人影は、
あれはシェイクスピアだったのか、そういえば最初に舞台にいた人影
もシェイクスピアその人だったような気がしているのだが。

全体のストーリーもわかりやすく、これは是非とも再演してもらいた
い。高校生のような世代にも理解してもらえるように思うので、その
あたりも考えてもらえればなのである。

客席の反応もよく、新作だからと消極的になっていてはいけないとも
思ったのが、今回の公演なのだった。

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