板話§秀山祭九月大歌舞伎~法界坊~

三連休最終日の昼の部は二本立て、11時開演して最初の演目は『鬼一
法眼三略巻』から“菊畑”が、そして『隅田川続俤』は、吉右衛門の
法界坊である。

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『菊畑』は平家に対して反攻を企てる兄弟が腹の探りあいを……とい
う一時間ほどの芝居。歌六の鬼一法眼が舞台にいた時は締まっていた
のが、彼が引っ込んで松緑の鬼三太、牛若丸の染五郎といった若手ば
かりの芝居になると、これがどうにも締まらない。期待の若手歌昇の
湛海は、これはさすがに力不足でしかなく、むしろ父親の役だろう。

30分の昼食休憩の後が『法界坊』である。亡くなった勘三郎で2回、
吉右衛門で観るのも2回目ということになる。そして仁左衛門が道具
屋甚三で付き合っての、大看板が二枚という顔合わせは濃厚である。

今さら言うまでもないが、話そのものは他愛がなく。鯉魚の一軸なる
掛け軸の行方が笑いを誘ったり、駕籠や葛籠の中の人間が頻繁に入れ
替わる様子を楽しめばいいのだ。

吉右衛門の法界坊は、肩の力ばかりか全身の力がすーっと抜けて、何
も飾ることない軽い演技で客席をリラックスさせていた。やろうと思
えば、いくらでも凄みをきかせる場面はあったはずだが、あくまでも
軽く軽く、肩の凝らずに早い午後の3時間を楽しませてくれた。

大喜利『双面水照月』は、法界坊と野分姫が合体した霊が、吉右衛門
の何とも珍しい女形で演じられた。

15時半過ぎに終演した後は、銀座を一時間ほどふらふらして、食料品
を買い込み、17時過ぎから新宿の居酒屋で早い夕食。

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