街話§神保巷塵[9]銭湯に行く人ありて

[承前]

神保町が、大手町や日比谷とは決定的に違う街であることは、何度も
書いていることだが、銭湯の存在は特筆しておかなくてはならない。

神保町2丁目の北側、専修大学交差点ほど近い立地で“梅の湯”なる
銭湯が営業を続けている。今はビルの1階という存在になってしまっ
たが、かつては“よくある”銭湯の建物に煙突が聳え立っていたのだ
った。

東京ど真ん中の千代田区など、風呂のない家などがあるとは思えない
ので、さてどのような人が利用するのかと見ているのだが、たまたま
早い夕方に銭湯の界隈で、プラスチック桶に入浴セットを入れて歩い
ている男性を見かけたか、どう見ても目的地が銭湯ではないですか。

あるいは個人営業の事務所から一風呂浴びようと出てきたように思わ
れたが、おそらくそんなところだろう。ただ、そういう人達だけの需
要で銭湯が継続できるとは思えず、おそらく冬の時代が続いていたと
想像することは可能である。

そんな中、昨今のジョギング&マラソンの愛好家が皇居周回道路を走
った後、梅の湯で入浴していくという話を聞いたがむべなるかな。

流行りの温泉ランドだとかサウナではなく“正統なる銭湯”の生きる
道が思わぬところから現れてきたものだと感心するのである。
                            [続く]

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