街話§神保巷塵[10]バーで呑む

[承前]

神保町の路地裏にバーを見つけた。神保町で有名な三兄弟が、それぞ
れ洋食屋、ラーメン屋、定食屋を商っている建物の、ラーメン屋と定
食屋の間にある。

ラーメン屋は神保町で40年もの間、行列の絶えない店として、また、
半チャンラーメンの店として君臨してきたが、店主の高齢化とともに
客足が減ってきたように感じてしまう……ちょっと寂しい。

という話はさておき、バーはカウンターが数席。女性バーテンダーの
店主が陣取る厨房スペースと合わせて、間口は一間もなさそう。あり
がたいことに客が少ない。店主にしてみれば、もっと入ってくれとい
うところだろうが、晩飯を済ませて食後の1杯でもという時、気楽に
入ることができるのはありがたいのだ。

食事の後なので、もちろん1杯だけ。スコッチをシングル、ストレー
トでキュっと煽れば滞在数分でお勘定だが、そこはウィスキーに疎い
人間なので、店主にあれやこれやを聞きながら、今夜の1杯を決める
ことになる。

というわけで、自分の好みとかには――そもそも好みなどないが――
拘らず“今夜の1杯”を手探りし、軽く呑んで、明日への活力と……
なってくれれば、新しい店を開拓した甲斐があるというものだ。
                            [続く]

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