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zoom RSS 祭話§パルジファル〜新国立劇場〜[下]

<<   作成日時 : 2014/10/16 00:00   >>

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[承前]

演出についてもう少し。光の道の上に“メッサー”と呼ばれる巨大な
槍の穂先様が移動してくる。光の道と同様にLEDが埋め込まれ、赤
色に染まる様子は印象的である。

↓動画は1幕、パルジファルを伴って聖杯城にワープする場面


アムフォルタスはその上で聖杯の儀式を執り行うのだが、周りの騎士
達はといえば、何人かはおびただしく体を震わせて快感に浸ってもい
て、カルトを想起させるような演出が施されてもいるのだ。

2幕、クリングゾルの花園の舞台で、取って付けたようにパルジファ
ルを誘惑するベリーダンサー風な花の乙女はいささか陳腐に感じられ
た。3幕の聖金曜日の奇蹟、光の道が緑のまだらになり、置くの画面
に虹が出てくるのも、確信犯的に陳腐化しているのではないかとすら
感じてしまった。

3幕の冒頭、放浪も終わりに近づいたパルジファルが、路上生活者に
自分の上着を恵んでやる。そして、その先に立つ3人の僧侶の一人か
ら袈裟を受け取り、身に纏って聖杯城を目指す……この演出を十全に
理解する力を持ち合わせていないもどかしさ。

そして幕切れのパルジファルは、聖杯の儀式を終わらせると袈裟を3
つに裂き、戸惑いを見せるグルネマンツと無表情なクンドリーに渡す
と、袈裟を纏って彼らを先導し光の道の上方へ歩き始めるのだった。

今は、舞台がどのようであったのかということしか語ることができな
い。いつか“ああ、あれは、そういうことだったのか”と合点する日
が来るのだろうか。

歌手はグルネマンツを歌ったサー・ジョン・トムリンソンがすばらし
かった。68歳という年輪の表現は、特に3幕冒頭から聖金曜日までの
語りで、まさにグルネマンツそのものではと思わせる慈しみに満ちて
心に染み渡っていったのだった。

ヘルリツィウスのクンドリーもまた見事。声の力をまざまざと認識す
る。アムフォルタスのシルンズ、クリングゾルのボーク、そしてパル
ジファルのフランツと、歌手が揃ったからこその充実した舞台となっ
たのである。

最後になったが飯守泰次郎が描き出す、馥郁としたパルジファルの音
楽は、本当にいい意味で“日本的”な風合いで貫かれた、上質な響き
が淡々と流れていったのだった。

東京フィルハーモニー交響楽団も上々の出来。そして、三澤洋史率い
る新国立劇場合唱団が安定して手堅い歌声を聴かせてくれた。
                             [了]

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