雅話§百人一首考[6]~かささぎの~

[承前]

中納言家持(ちゅうなごんやかもち)

かささぎの 渡せる橋に おく霜の
白きをみれば 夜ぞふけにける


百人一首第六首である。五首までは問題なく諳んじていた。それが、
何とも不思議なことに、この歌がすっ飛ばされていて次の“天の原”
から10首ほどは諳んじていたのだ……これは、いかなる理由なのか。

そもそも、百人一首の熱心な読み手などではなく、どこか眼の端に引
っかかってきたものが、たまたま百人一首の中の歌だったりして、そ
んな三十一文字が、たまたま印象的であったことで、少しばかり心に
かかり、気がつけば諳んじていることもあるという程度なのである。

だから、この歌の印象は希薄で「かささぎの」という五文字は辛うじ
て記憶にあるものの「渡せる橋に」以降がすらすらと湧き出てくるわ
けではない。

この先も、そういう意味では自分の中にほとんど残っていない歌を取
り上げることになるけれど、謙虚に心のままを書こうと思っている。

残るは九十四首か……緒に就いたばかりで、先はまだまだ長いのだ。
                            [続く]

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