悼話§墜落事故犠牲者の中に・・・

起こってはならない飛行機事故が起きてしまった……3月24日昼前に
バルセロナを発ってデュッセルドルフに向かうジャーマンウィングス
のエアバスがフランス山中で墜落。乗客乗員150名全員が死亡した。

日本人乗客2名も含まれていた犠牲者の中に、2名のオペラ歌手がい
たという報道に驚かされたのだ。バス・バリトンのオレグ・ブリヤク
とメゾ・ソプラノのマリア・ラドナーは、23日までバルセロナのリセ
ウ歌劇場で行われていたワーグナーの『ジークフリート』公演で舞台
に立ち、全公演が終わった翌日乗った飛行機で事故に遭ったのだ。

ブリヤクは既にバイロイト音楽祭の『ニーベルングの指環』でアルベ
リヒを歌っている。さらにマリア・ラドナーは、今年のバイロイト音
楽祭の指環にフォロースヒルデとノルンでデビューすることも決まっ
ていたのである。

今の時代、オペラ歌手は各地の歌劇場の舞台に立つから、飛行機での
往来などは珍しいことでも何でもない、いわば日常の風景ということ
だが、ごくごくわずかな確率ではあっても、こういうリスクも潜んで
いるのが現代社会ということだろうか。

そういえば2001年、ゼンパーオパーで『ニュルンベルクのマイスター
ジンガー』を観た翌日に、ドレスデンからチューリヒまでの飛行機に
乗ったら、斜め前の座席に、ワルター・フォン・シュトルツィングを
歌ったロバート・ディーン・スミスが座っていることに気がついた。

その時“なるほど、今時のオペラ歌手はかくのごとく移動を繰り返し
ているのか”と、アタッシェケース片手に乗り継ぎ便へと向かう後姿
は、歌手と知らなければ普通のビジネスマンだったのである。

そんな移動時代であるからこそ、交通機関の安全性は十分以上に保た
れなくてはならないのだ。

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