愉話§呑藝春秋[33]酒呑み話は忘却する

[承前]

気のおけない知り合いと酒を呑む機会があって、2時間とか3時間の
酒席で談論風発となることはいつものことで、別段珍しいことではな
い。

それはいいのだが、なかなかに実のある会話をしていたはずなのに、
帰宅する頃には、会話の中身の大部分を忘れてしまってということも
また珍しくなかったりする。

どうしてなのかなと理由を探ろうと試みてはみたものの、酒で舌が滑
るようになって、口の先から言葉が雲散霧消していった以外、原因の
ようなものが見当たらない。

それにしても、酒が入っていい気分になった後のことを覚えていない
というのは理屈に合っているのだけれど、とりあえずのビールで喉を
潤し始めたあたりから既に忘却の彼方ということに納得がいかないの
である。

いや、覚えていないわけではない……ではないけれど、要するに会話
の断片は切れ切れに頭の中に残っていて、こういうことを話したのだ
なとはわかっているのだが、たぶん2時間とか3時間という会話の量
に記憶が追いついてくれなかったんじゃないだろうかと、まあそんな
結論でお茶を濁すことにしたい。
                            [続く]

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