卯話§スーパー喜劇『かぐや姫』

というわけで、年に一度の直美ちゃん観劇に行ってきた。

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スーパー歌舞伎と藤山直美ちゃんとのコラボを期待したのだけれど、
結果的には、てんこ盛りが過ぎて消化不良という印象ではあるのだ。
相変わらず藤山直美は勘どころをきちんと押さえた役作りだったが、
個人的にはもう少し炸裂してほしかったという気がしないでもない。

“スーパー”という鳴り物が入ったにしては、フィナーレー近くで、
直美と猿弥が宙乗りで月に帰っていくくらいで、もう少し舞台上での
スペクタクルが見られればよかったのにとは思った。

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スーパーではないが、歌舞伎からのパロディーがあちこちに散りばめ
られていた。かぐや姫最初の出は、竹をかざしての『押戻』と『伽羅
先代萩』から“床下”を合体させたようなものだったし、かぐや姫に
プロポーズする5人の公家は“志らなみ”ではあらで“志らない”と
墨痕鮮やかに傘に書かれていて、おなじみのつらねももじられていた
のだ……中にあって忠信利平は頭に毛が一本の波平には笑わされた。

江戸の長屋が舞台らしい第二幕は『四谷怪談』がいじられていたし、
終幕クライマックスで、かぐや姫が下界での夫である帝と再会する場
面は『ぢいさんばあさん』と……まあ、欲張ったものである。

そんな芝居を歌舞伎初心者の10年前に観たら、そんな仕掛けを十全に
楽しめなかったのではないかなどと、やっぱり経験は必要なんだと、
しみじみ思い知った。

直美ちゃんに伍した一番の儲け役は、かぐや姫を守るために月から派
遣された猿弥の赤耳……しどころが多くて、客席を沸かせてくれてい
た。その他、上条恒彦や水谷八重子などなど“実力者”が出演して、
それぞれ歌を歌ったりもしたけれど、盛り上がりは今ひとつ。

それにしても、第三幕で時の帝を倒しそうという陰謀を企てたのが、
中臣鎌足と蘇我入鹿という大化の改新における敵味方というのは、何
を考えてのことだろうと首をひねったが、かぐや姫と帝の間にできた
双子が“安寿と厨子王”というのも勢い余っての御愛敬であろう(笑

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