駒話§四月大歌舞伎夜の部~鴈治郎襲名~

今月の歌舞伎座は“両花”だった。下手側にある通常の花道に加え、
上手に仮花道を付けての公演だから、観る客の側にしたら、なかなか
悩ましい舞台の設営ではあったのだ。

それを堪能しようと思ったら、1階席の後方か2階席前方に席を取ら
ねばならないが、さすがにチケットのお値段が……で、3階席6列目
からだと、両花七三とちょっとまでは見えるが、先頭の役者だけとい
うのでは物足りないものがあった。

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そんな両花を使っての『成駒家歌舞伎賑~木挽町芝居前の場~』の幕
開けは、仁左衛門扮する“道頓堀座元”に伴われた翫雀改め鴈治郎が
登場し、菊五郎の木挽町座元と吉右衛門の太夫元に引き渡すという場
面に始まる。

そして、上手花道から女伊達が、下手花道から男伊達が登場し、祝儀
のつらねも趣向を凝らしたものだった。かくして舞台にのる出演者の
顔ぶれもまた、今の大幹部が勢揃いしたから豪華といえるだろう。

芝居前に続いての口上は、翫雀改め鴈治郎、山城屋坂田藤十郎、弟の
扇雀、息子の壱太郎、甥である虎之介の5人でさらりと行われた。

夜の部の襲名狂言は、玩辞楼十二曲の内から『心中天網島~河庄~』
が鴈治郎の紙屋治兵衛、芝雀の小春、梅玉の粉屋孫右衛門という一幕
の舞台……鴈治郎の思い入れの強さは理解できるが、いささか乱暴な
演技が見られたり、梅玉とのやり取りにかみ合わない所も散見され、
まだまだ練れた舞台までには時間がかかると思ったのである。

追い出しは15分ほどの『石橋』で、染五郎の獅子の精は大迫りから、
壱太郎は上手花道、虎之介は下手花道からの出。染五郎が若い二人を
引っ張って、いい気分で終演を迎えることができた。終演20時50分。

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