雅話§百人一首考[28]~やまざとは~

[承前]

源宗于朝臣(みなもとのむねゆきあそん)

山里は 冬ぞさびしさ まさりける
人目も草も かれぬと思へば


古へと思いを馳せる時に決まって思うことだけれど、さぞ平安時代の
家屋敷の冬は寒かっただろうなということである。

ちょっと調べてみただけだが、雨戸代わりの二枚格子(半蔀)と襖程度
でしかない。板敷の床にベッドとして使われる畳を置き、掛布団など
あるはずもなく、昼間着ていた衣類を掛けて寝る……どこからどう見
ても寒いとしか言いようがない。

清少納言は『枕草子』で“冬はつとめて”と冬の朝を描写しているが
その中で“またさらでもいと寒きに”と、ただでさえ寒い冬の早朝に
あわてて炭火を熾してと書き記したのだ。そんな火桶に入れた炭火な
ど、せいぜい手あぶり程度でしかなかっただろう。

とりあえずは服をかき集めて重ね着でしのぐしかなかったと思うのだ
けれど、もう少し何とかならなかったものかなあと1000年後の子孫は
考えるのである。
                            [続く]

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