雅話§百人一首考[41]~こいすてふ~

[承前]

壬生忠見(みぶのただみ)

恋すてふ わが名はまだき 立ちにけり
人知れずこそ 思ひそめしか


恋すてふは“恋すちょう”と読む。蝶々がてふてふだということから
判読できるわけだが、こちらのほうは“恋してるんだってさ”という
意味だろうか。

ああ、引き続いて恋愛の歌であるよ。しかも一つ前と同じく、ひっそ
り隠していたつもりが、周りにはバレバレだったというのもまた、何
だかなという“雅”な人たちののほほんとした恋愛沙汰なのである。

平安時代の政治組織、形態がどのようなものであったのか、不勉強に
して知っているわけではない。権力闘争などは、いつの時代にも存在
していたので、そのような人間関係であったということは理解できる
にしても、和歌を勅撰して歌集を編纂するのも役所仕事だったことを
考えるなら、程度の差こそあれ宮中においては100%の人間が歌を詠ん
でいたということだ。

もちろん不調法な向きもいたようで、そんな時には“ゴーストライタ
ー”が気の利いた歌を配達してくれたらしく、著名な歌人の中には、
それをアルバイトとしていたということも聞いている。

それでまあ、色々あるんだろうけれど、雅にのほほんとしていたのだ
なあと思うことしきりなのだ。
                            [続く]

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