顧話§今日の歴史~ヘルマン・プライ~

1998年7月22日、バリトン歌手ヘルマン・プライ逝去。

ヘルマン・プライの舞台姿を最後に観たのは、1994年のウィーン国立
歌劇場日本公演『こうもり』のアイゼンシュタインだった。その時、
六十代半ばである。そして70歳の声を聞く前に亡くなってしまった。

1980年、同じくウィーンの日本公演の時に、カール・ベームの指揮で
『フィガロの結婚』のフィガロが、彼を聴いた初めての実演で、その
後、オペラでは『魔笛』のパパゲーノや『マイスタージンガー』のベ
ックメッサーを聴いている。いずれも彼の“当たり役”なのである。

決して器用な歌い方ではなく、時に勝手なテンポで歌ったりと、ほぼ
同年代だったフィッシャー・ディスカウとはまったく違った芸風で、
だがそれがゆえに愛された歌手と言っていいだろう。

そんな中でも楽しく観たと記憶に残っているのは1987年7月、バイエ
ルン国立歌劇場での『魔笛』で、かなりくたびれたパパゲーノだった
のだけれど、そんなパパゲーノを観客が温かく見守るという感じで、
まさに人柄を見たというそんな一夜なのだった。

《歴史のトピックス一覧》

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック