化話§桐始結花~七十二候~大暑

大暑の初候“桐始結花(きりはじめてはなをむすぶ)”である。

大暑である。東京は連日34度、33度という具合で、どこが小暑の候な
のかと毒づきたくもなってしまう。

かつて――30年くらい前――暑い最中に外出した時、何も考えずにと
いうか、最短ルートしか頭の中になく、日向ばかりを歩いて同居人に
怒られたことがあった。行動するうえで、優先順位が異なっていての
失敗だったのである。

そして気がつけば、いつの間にか日陰を拾って歩く身になっていた。
そうなったのはいつの頃だったのか、記憶がかなり曖昧だが、たぶん
一人で歩いていると、そのあたりを考えることなしで歩いていたのは
間違いないだろう。

今や細い電柱の影であっても、これ幸いと少しでも陽射しから逃げよ
うとあがいている自分がいる……健康だった時代が、いかに人間を不
遜に仕立てていたか、齢六十を超えた今、しみじみと体力が衰えたこ
とを自覚させられているのである。

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