悠話§定年直前旅[18]シュターツカペレ

[承前]

この日の午後は、ドレスデン在住で2月に出産した知り合いの新居を
訪ねた。お土産は、日本の絵本と山のチーズ。2時間ちょっとの滞在
で失礼したが、子育ては大変であるとしみじみ。我々にしてみれば、
孫のような年齢である。

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20時からは、ゼンパーオパーでシュターツカペレ・ドレスデンの定期
演奏会があったので行ってきた。チケットは一昨年と同様に、自宅で
プリントアウトして持参……気楽なものだ。座った席は最上階、いわ
ゆる天井桟敷で、日本式の数え方では5階になり、天井のシャンデリ
アは眼の前なのだ。

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こんなプログラムだが、一曲として聴いたことがない。そういうわけ
で天井桟敷31オイロの席を買ったのだが、ある意味気楽に聴けて正解
といえるかも知れない。

1曲目“オッフェントリウム”と名付けられたグバイドゥーリナ作曲
のヴァイオリン協奏曲は、彼女の支持者であり紹介者であるギドン・
クレメルによって演奏された。曲の冒頭にバッハ『音楽の捧げもの』
が使われて、興味を惹かされたが、その後はバッハとは無関係な音楽
が延々と続き、彼女の曲を理解し楽しんだとは言えなかった。

楽しめたのは、2曲目に演奏されたタネーエフのカンタータ『ダマス
コのイオアン』で、これは親しみやすい音楽と感じられ集中を途切ら
せることなく最後まで聴けたのである。

一番気になっていたのは最後、スクリャービンが作曲した『プロメテ
- 火の詩』
で“色光ピアノ”なるものが使われるとあったが、実際に
演奏されたのは普通のグランドピアノで、音楽の進行に従って照明が
変化するだけで、残念ながら拍子抜けとなってしまった。ピアノ独奏
はイゴール・レヴィ。

指揮はウラディーミル・ユーロフスキ……あまりに変わったというか
凝ったプログラミングで、終演後に気がつけばシュターツカペレを聴
いたという満足感がなかったのも惜しいことだった。

こうして最終日の夜は更けていき、明けて翌日は移動日なのである。
                            [続く]

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