雅話§百人一首考[54]~わすれじの~

[承前]

儀同三司母(ぎどうさんしのはは)

忘れじの 行く末までは かたければ
今日を限りの 命ともがな


「忘れないとと言われても、そんな先のことはわかりませんわよ」と
通ってきた新婚の夫に言う新妻ってどんな人なのでしょうね。

根が駆け引き下手にできているものだから、いきなりそんな言葉で先
制攻撃されたらアウトである。他人様はどう考えているか知らないけ
れど、言葉に表裏をつけられない性質なのだから。

彼女にとって新婚の夫が、そういう言葉を投げるほどに軽々な男であ
るのか……まさに“巧言令色鮮矣仁”を地で生きているように見えた
ということであろうか。

また、そうして見透かされた夫の反応はどんなものだったのか、相手
の返しを知りたいものである。
                            [続く]

《百人一首のトピックス一覧》

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック