童話§九月大歌舞伎~秀山祭~夜の部

今年の秀山祭夜の部は『伽羅先代萩』の通し上演である。通し狂言は
欠かさないと決めているので当然ながらのお出かけ。定年後を見据え
たわけではないが、先週水曜日の午後半休で歌舞伎座に。

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玉三郎の政岡、吉右衛門の仁木弾正、歌六の八汐、菊之助の沖の井。
玉三郎はいつもどおりねっとりとした台詞回しの舞台だが、内に内に
耐えて懸命に若君を守る様子が秀逸だった。菊之助の沖の井も凛とし
た台詞が耳に心地よい。

鶴千代と千松、二人の子役もよく務めていて客席が沸いたのだが、八
汐に刺し殺された千松が、舞台上で寝てしまったのか、手の動きが見
えてしまって客席がザワついてしまったのは残念である。

しかし“飯炊き”の場面はいつ観ても長い。政岡が下手で茶の作法に
のっとってご飯を炊くというのに、舞台中央の子供二人は、すごろく
をしたり、政岡が食事の用意をしている様子を覗きに行くくらいしか
しどころがなく、どうにも疲れてしまうのだ。

『床下』の荒獅子男之助は松緑、続く『対決』と『刃傷』の場で細川
勝元を務めたのは染五郎だったが、これが“爽やかな若大将”はいい
のだが、さすがに軽さは否めず、吉右衛門の弾正と張り合うところま
では到らずで、まだまだなんだなあと痛感した。

思い返せば20年ちょっと前だったか、雀右衛門の政岡で観た時の勝元
は中村富十郎で、切れのいい口跡で淀みなく弾正を追及していった舞
台の記憶が鮮やかに残っているので、申し訳ないが比較してしまうの
である。ああした域に達するのはいつのことだろう。

終演は21時過ぎ。地下鉄、電車を乗り継いで23時前の帰宅である。

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