雅話§百人一首考[53]~なげきつつ~

[承前]

右大将道綱母(うだいしょうみちつなのはは)

嘆きつつ ひとり寝る夜の 明くる間は
いかに久しき ものとかは知る


女性から“待ち人来たらず”で一人寝が長いの何のっていう、恨めし
さ満点の一首が出てまいりました。

今であれば、携帯メイルかLINEなんかで「ごめん、行けない」と断り
が即時に入るから諦めも早いだろうが、使いの者に伝言を持たせると
か、そんな余裕もなければ、先方は待ちぼうけのくたびれ損である。

だから、余計に恨みつらみを歌に託して相手に送りつけてしまうわけ
だから、受け取った相手は平謝りに平謝りを重ねることだろう。もち
ろん、何やら言い訳じみた返歌を送ってきたりもするだろうから、雅
といえば雅……人間の生の感情が表出した時代だったということか。

それにしても恋歌ばっかりなのだなあ。
                            [続く]

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