雅話§百人一首考[62]~よをこめて~

[承前]

清少納言(せいしょうなごん)

夜をこめて 鳥のそらねは はかるとも
よに逢坂の 関はゆるさじ


清少納言のような人を相手に下手な喧嘩をしては返り討ちで大炎上と
なるのは必定である……それなのに藤原行成くんは、何ともつまらぬ
言い訳をしたとしか思われぬ。そのあたりの詳しい経緯を彼女自身が
『枕草子』第百三十六段に書き記していた。

彼が孟嘗君の故事を引っ張り出してきた時の清少納言の反応がどうだ
ったか……間違いなく鼻でせせら笑い、即座に“夜をこめて”の一首
を詠んで行成くんに送りつけたに決まっている。

清少納言という当代一二を争う才女に何とまあと思うが、21世紀とは
明らかに時代が違っていたから、清少納言に突っ込みを入れられても
蚊に喰われた程度としか感じていなかったに違いない。

当世は“女性が輝く”などと、相変わらず中身のないスローガンで目
くらましに躍起だが、そんな様子を清少納言が見たら、どんな歌を詠
むのであろうか。
                            [続く]

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