雅話§百人一首考[63]~いまはただ~

[承前]

左京大夫道雅(さきょうのだいぶみちまさ)

今はただ 思ひ絶えなむ とばかりを
人づてならで 言ふよしもがな


ずいぶんと女性に対して“積極的”な人だったようで、けっこうな騒
動を引き起こしているばかりか殺人にも関与しているという、当時か
らとかく評判の悪い公家さんだったのだ。

そんな“悪人”でも歌を詠むというのが千年以上前の日本の上流社会
ではたしなみとして必須とされていたわけだから、善人であるか悪人
であるかなど関係なく、誰もが歌詠みだったわけである。

にしても行状がなかなかにえげつなくて、この歌自体も、色恋厳禁と
されている伊勢神宮の斎宮だった女性に宛ててのものだから、始末が
悪いと言えば悪い……困ったちゃんだったということであろう。
                            [続く]

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