雅話§百人一首考[71]~ゆふされば~

[承前]

大納言経信(だいなごんつねのぶ)

夕されば 門田の稲葉 おとづれて
芦のまろやに 秋風ぞ吹く


初秋の風景を詠んだ一首。実り切って垂れる稲穂の田んぼの前にある
郊外の山荘から大納言が、その風景を愛でているところである。

紙と木の日本家屋であれば、山荘程度の大きさを建てるなど造作もな
いはずで、公家たちは競ってあちらこちらに別荘を建てては悦に入っ
ていたことだろうと想像することは簡単である。

などと書いたところで、そんな公家さんたちの勤務形態はどんなもの
だったのかなと想像してみた。曜日などない時代かと思っていたら、
平安時代初期に弘法大師空海が、唐への留学から帰国する時に持ち帰
った“宿曜経”なる経典に曜日についての記述かあり、これをもって
日本に曜日の概念が伝わったようだが、実際に曜日で日常生活を営む
ようになったのは明治以降のこと。

だから、公家さんが月に何日仕事をして、どのように休みを取ってい
たものか、手元に資料がないのでわからないでいる。日々の事務量が
どれほどのものであったのか……さすがに現代のサラリーマンのごと
くに夜中まであくせく働くなど、ありえない話だと思うのだけれど。
                            [続く]

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